CAD/CAM一体型 ソフトウェア hyperMILL® の活用で加工現場のプロトタイピング効率が向上

イノベーティブな製品には、クリエイティブな設計者と、アイデアを迅速かつ効率的に実装するプロトタイピングが欠かせません。そのための設備のひとつとして、各プロセスにおいて容易に使いこなせる CAD/CAM システムが挙げられます。OPEN MIND Technologies の hyperMILL® CAM ソフトウェアは、シームレスに統合されたCADモジュールと組み合わせることにより、包括的な5軸加工手法とプログラミングで、確かな信頼性を提供します。

ドイツのシュツットガルト近郊を本拠とするケルヒャー社は、世界72 か国の 127 社以上、従業員 13,500 名からなる Alfred Karcher SE & Co KG グループ傘下の企業です。ケルヒャー社は世界的な清掃機器メーカーとして、高圧および超高圧洗浄機、掃除機やスチームクリーナー、スイーパーや床洗浄機を始めとする、イノベーティブな清掃ソリューションを幅広く提供しています。同社は、最も重要な成長要因として”イノベーション”を掲げており、その核となる研究開発に携わる従業員は 1,000 名に上ります。ケルヒャー社は現在 630 件もの有効な特許を保有し、製品のおよそ 90% 以上が過去5年以内に開発されています。

新製品はいずれも、先ず1988 年に開設されたプロトタイピング部門で製作されます。部門の責任者兼認定モデル製作者の アキム・ザンツェンバッハー(Achim Sanzenbacher) 氏は、同氏とそのチームの仕事について「鋼製、真鍮製、および樹脂製のプロトタイプ部品を、12 人の従業員で毎週 600~800 個製作しています」と説明しています。CAD/CAM ソフトウェアおよびその他のプログラミング・システムは、5 軸加工システム、3D プリンター、板金工程での製造作業に使用されています。

ケルヒャー社では、プロトタイプを自社で製作することが非常に重視されています。これは、市場投入までの時間を短縮すると共に、ノウハウを十分に蓄積してから製品を流通・普及させることが目的です。このため、プロトタイピングには特別な注意が払われ、初期サンプル完成までのスピードをさらに加速するための投資は惜しまず行われます。効率的なプロトタイピングを実現する主要なテクノロジーの一例が、CAD/CAM ソフトウェアです。

「このテストでは、現実的な条件で hyperMILL® を体験できました。結果を見たときに、この CAD/CAM システムが当社にとって最適なソリューションだと確信しました。プログラミングが容易で加工スピードも速く、一貫して信頼性の高い加工結果を得られます。」

ワサック(Michael Wussack) 氏はこれに大いに感銘を受け

ハイエンド CAD/CAM によるプログラミング

OPEN MIND Technologies の hyperMILL® ソフトウェアは、その非常に効率的な5 軸加工手法が決め手となり、2018 年 11 月より ザンツェンバッハー(Sanzenbacher)氏のチームに導入されました。新しい CAD/CAM プラットフォームに切り替えた背景には、もうひとつの放置できない重大な理由がありました。「従来のソフトウェア・サプライヤーのサービスに問題を感じていました。ソフトウェアやポストプロセッサのアップデートが提供されないことが度重なったのです」と同氏は語り、こう続けます。「最新化されていないシステムで作業し続ける余裕はありません。当社の部品はますます複雑化しており、あらゆる最新機能のメリットを業務に取り入れるために、ソフトウェア・ベンダーからはアプリケーションに関するサポートを必要なタイミングで受けたいのです。」
新しい CAD/CAM システムの選択にあたり、ケルヒャー社の 4 名からなる加工チームによって、最先端の技術に加え、魅力的なサービスを提供するベンダーの調査が行われました。ケルヒャー社はまず、CAD/CAM プロバイダーの上位 4 社をリストアップし、プロトタイピングの典型的な条件を用いて、ヘリカル溝のある複雑な 形状に対する5軸プログラミングと実加工を伴うベンチマークを依頼しました。CAD データの受領は午前中、部品は 1 回の段取りで切削加工を行い、その日のうちに完成させるというものです。
ケルヒャー社にリストアップされたソフトウェア・ベンダーのうち、2 社がこのベンチマークへの参加を辞退しました。OPEN MIND の技術プロジェクト・マネージャーで、金型製造とプロトタイピングのアプリケーション・スペシャリストでもあるシュテフェン・フォルカー(Steffen Völker)は、hyperMILL® CAM システムでこのベンチマーク課題に取り組み、見事にクリアしました。ベンチマークの対象部品は Hermle C400 での切削加工を当日の午後までに終え、検査に回されたのです。ケルヒャー社プロトタイピング・チームの CAM および切削加工スペシャリストであるミカエル・ ワサック(Michael Wussack) 氏はこれに大いに感銘を受け、次のように語ってくれました。「このテストでは、現実的な条件で hyperMILL® を体験できました。結果を見たときに、この CAD/CAM システムが当社にとって最適なソリューションだと確信しました。プログラミングが容易で加工スピードも速く、一貫して信頼性の高い加工結果を得られます。」

卓越したサポート

この日の最後にもうひとつ明らかになったことがあると、ザンツェンバッハー(Sanzenbacher)氏は言います。「OPEN MIND は、当社が望んでいたサポートを必ずや提供してくれるであろうパートナーに違いないという事です。」
OPEN MIND はお客様との協力関係を大切にしています。導入当初、フォルカー(Völker)は、プログラミングや加工品に関連する問題が発生していないかを尋ね、問題があれば迅速に解決すべく、毎週ケルヒャー社と連絡を取っていました。ところが実際には、ケルヒャー社の CAM 担当者はプロトタイピングの高い専門知識を持っていたので、技術支援は最小限のもので済みました。
ケルヒャー社は、サーフェイスおよび金型加工向けとして提供される hyperMILL® の汎用 5 軸サイクルの全13機能が使用可能なライセンスを所有し、またそこに統合される hyperMILL® MAXX Machining パフォーマンス・パッケージの荒加工および仕上げ加工用のモジュールも使用しています。ワサック(Wussack)氏は次のように語ります。「ユーザー・インターフェースが非常に直感的で分かり易い構造になっているので、私たちは hyperMILL® をすぐにマスターできてしまったのです。何と言っても、基本的な操作はどのサイクルでも同じですからね。」また、ケルヒャー社は、OPEN MIND がソフトウェアの全てを自社開発していて各モジュールの統合度が高いという点もメリットと捉えています。

総合的な CAD/CAM コンセプト

hyperCAD®-S は、CAM プログラマーが 作業をよりスピーディーに進められるようOPEN MIND が開発した「CAM のための CAD」システムです。「hyperMILL® と完全に統合されています」と ワサック(Wussack)氏は言います。「このおかげで、特別なインターフェースを使用せずに CAM-CAD 間をシームレスに行き来できます。大いに時間の節約になりますし、作業のストレスが大幅に減少します。」
特にプロトタイピングは、後の射出成形やダイカスト鋳造による量産を意識して開発されることがしばしばあるため、切削加工で対応可能なモデル形状にする必要があります。部品の切削加工では、サポート部やクランプ面が求められ、R部の調整や穴を塞ぐなどのCAD作業を行わなければなりません。これらはまさに、hyperCAD®-S が持つ、ユーザーフレンドリーな描画・サーフェイス・ソリッドの各機能によってこなすべきタスクなのです。

幅広い 5 軸加工手法

プロトタイピングと量産では、求められる切削加工の要件が根本的に異なります。個々の部品を製作するにあたり、総加工時間を1/10秒単位で短縮することは重要ではありません。作業しやすくプロセスの信頼性が高い NC プログラム、理想的には 1 回の段取りで対象部品を完成させられるようなプログラムをスピーディーに作成できれば、より大きな時間短縮になるのです。この点において、いかなるワークでも取り付け面以外の全面にアクセスできる 5 軸加工は、プロトタイピングには理想的なテクノロジーです。また、人手が不要になる連続加工時間が増加し、ワサック(Wussack)氏のチームでは次の部品のプログラミングにこの時間を充てて有効に活用しています。
5 軸加工において、hyperMILL® は群を抜いています。複数の多軸加工手法があり、どのようなワーク形状や工作機械の動作に対しても、適切なソリューションが用意されています。「プログラミングは簡単です」と ミカエル・ワサック(Michael Wussack)氏は述べています。「どの5軸加工機能をとってみても、設定は2~3D手法がベースになっているためです。平面仕上げ加工や削り残り部加工などの使い慣れた 3D 手法の設定画面に、工具軸方向を指定する”5軸設定”タブが 1 ページ加わるだけです。」

自動化された機能と高能率サイクルが効率化を促進

OPEN MIND のソフトウェアは、5軸プログラミングを容易にするさまざまな自動化機能を提供しています。例えば”オートマチックインデックス機能”では、複数方向からの加工が必要な場合でも1つのジョブでまとめてプログラミングが可能になります。複数の切削領域ごとに、それぞれ干渉が発生しないような割出角度を自動的に探し出します。さらに、割出だけでは加工できない領域については同時5 軸を用いて加工されます。
また、”5X 削り残り部加工”も非常に役立ちます。仕上げ加工で削り残ってしまった部分を検出し、ユーザーが定義する参照ツールと加工領域に従って必要な追加工パスを自動的に生成します。「これでプログラミング時間が大幅に短縮されます」と ワサック(Wussack)氏は述べています。
荒加工はプロトタイピングにおいて非常に高い頻度で使用される加工モードです。ほとんどのコンポーネントが角材や丸材から削り出されるためです。ケルヒャー社では、hyperMILL® MAXX Machining パフォーマンス・パッケージの荒加工モジュールを活用して、この作業を容易にクリアしています。また、ケルヒャー社は hyperMILL® MAXX Machining の仕上げ加工モジュールにも投資を行っています。ザンツェンバッハー(Sanzenbacher)氏は、温水高圧クリーナーの電動モーターの加工時に、この仕上げ加工モジュールが大きく役立つと考えています。正確な熱測定を実現するためには、無数の冷却フィンをあらかじめ定められた厚さに高い精度で加工する必要があるのです。「バレル工具とこれをサポートする“5X タンジェント加工“や“5X タンジェントプレーン加工“などの手法を用いることで、加工時間を半分に削減できると期待しています」と ザンツェンバッハー(Sanzenbacher)氏は述べています。

徹底したリスクの排除

ザンツェンバッハー(Sanzenbacher)氏が考える進化の次のステップには、加工プロセスのさらなる自動化があります。「プロトタイピングにおいても、夜間や週末に最小限の人員配置で工作機械を稼働させて、時間を効率的に使うことに関心を持っています。」その基礎固めとして、すでに 6 面パレット・チェンジャー付きの Hermle C22 への投資がなされています。
自動化にはプロセスへの非常に高い信頼性が求められるため、干渉チェックと干渉回避は非常に重要です。hyperMILL® はこの点で、工作機械環境全体を考慮したシミュレーション・ソリューションなどの効率的なオプションを提供しています。同時 5 軸加工では、干渉の発生しない工具軸の角度と方向を hyperMILL® が自動的に計算します。ユーザーは、干渉回避時にどの回転軸を優先して動かすべきかを工作機械の構造や可動範囲に応じて指定するだけでよいのです。

プログラミングと加工で時間を節約

アキム・ザンツェンバッハー(Achim Sanzenbacher)氏は、「OPEN MIND社のhyperMILL® CAM ソリューションとそのオプション機能は、プロトタイピングのニーズを完全に満たしています。各加工手法は非常に汎用性が高く、またユーザー・インターフェースはすべてのサイクルで統一感があり、分かりやすく、きちんと造り込まれています。そこで作成したプログラムでは、安全で信頼性の高い加工を確実に行えます。実際に我々は、加工自体の高速化も実現できました」と、満足を隠しえません。これを裏付けるような具体的な数値は記録していないながらも、同氏は「スループットは目に見えて向上しました。hyperMILL® は現時点でプロトタイピングの最も先端を行くものだと、私は考えています」と語っています。

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